実際、普通学級では
- お勉強がよくできる子
- 普通
- お勉強が苦手な子
の割合が1:8:1だといわれています。
学習障害がある子どもは、一クラスに5%~7%いると、言われています。つまり、お勉強が苦手といわれる10%の子供たちの中には、学習障害の子供もいますが、そうではない子供も存在するのです。
- お勉強が苦手なだけなのか?
- それとも学習障害なのか?
その違いとは一体なんなのでしょうか?
今回は、学習障害の子供とお勉強が苦手な子供の違い、また、学習障害の傾向がありながらも、気づかれないグレーゾーンといわれる子供たちに、家庭でどうやって勉強を教えたらいいのか。どうやって苦手を克服していけばいいのか。
その方法について解説します。
学習障害に気づかれやすい子供の特徴
発達障害の1つである学習障害。
学習障害とは、知的な遅れや視聴覚の障害がないにもかかわらず
- 聞く
- 話す
- 読む
- 書く
- 計算する
- 推論する
のうちどれかに困難を示す状態です。
とはいえ、こんな大雑把な言い方をされると、勉強が苦手な子供の場合、ひとつぐらい当てはまるような気がしてしまいますよね。
特に低学年の子供は、学習障害でなくても、どれか一つにあてはまる、なんていうことは十分に考えられます。
そのため、学習障害なのか、学習障害ではないのか?と迷っているうちに時間だけが過ぎてしまい、何の支援も受けずに学童期を過ごしてしまう子どもが多いのです。
とはいえ、逆に学習障害に気づかれる子供の多くが、低学年という早い段階で気づかれています。
いったい、この違いは何なのでしょうか?
低学年で学習障害があることに気づいてもらえる子供とは、どのような特徴があるのか。
説明していきますね。
学習障害以外の発達障害がない
発達障害には
- 自閉症スペクトラム(ASD)
- 注意欠陥/多動性障害 (AD/HD )
- 学習障害(LD)
と大きく3つに分類することができます。しかし、例えばASDと医者に診断されたとした子供であっても、その特性にピッタリすべてあてはまる子供というのは珍しいといえます。
発達障害の特性を部分的に持っている子供もいれば、ASDとADHDの特性がある子供、ADHDとLDの特性がある子供。
こんなふうに、発達障害の特性を重複している子供が多くいます。
発達障害が重複している子供より、学習障害のみの障害で、学習障害による困難が際立っている子供の場合は、低学年のうちに担任の先生や保護者が学習障害に気づきやすいといえます。
平均的な知能指数
IQという言葉を聞いたことがある方は多いと思います。IQとは知能指数のことで、平均を100とします。多くの人が90~110の間に入ります。
ちなみに、IQ70以下の場合は、知的障害になります。(※知的障害には、軽度・中度・重度・最重度とあり、IQの数値が下がるほど障害が重くなります。)
逆にIQが130を超えると、いわゆる「天才」といわれる部類に入ります。ギフテットといわれる子供たちもIQがとても高いことで知られています。
少し話がそれましたが、普通学級で学習障害に気づかれやすい子供は、IQが人並み、もしくはそれ以上あり、普通の生活での困難は何も感じない場合です。
むしろ他の子供よりもスポーツが万能だったり、お話しが上手だったり。
…にも関わらず、文章を書くことだけが苦手、読解力だけが弱いなど、極端に学習の一部分だけに問題がある場合は、気づかれやすいといえます。
学習障害 特徴的な字
我が子だけを見ていると分かりにくいかもしれませんが、学習障害(特に読み書きに困難)のある子供の字は、やはり他の多くの子供たちとは違う「独特の字」を書きます。
ただし、元々字を書くことが嫌いだったり、面倒くささがあったり、眠かったりと、子供は気持ちによっても字が乱雑になることが多いので、見極めは大事ですが…。
がんばっている、元気で落ち着いている、そんな状態にもかかわらず
- 字がきたない
- 字がマスに全然おさまってない
- 線が一本足りないなどの誤字が多い
という場合は、学習障害が疑われます。
学習障害に気づかれにくい子供の特徴
学習面で著しい困難を抱える子供は、普通学級に5%弱いるといわれていますが、著しいとまではいわずとも 学習障害の傾向がある子供、お勉強が苦手な子供を含めると、その割合は普通学級に約1割程度(10%程度)となります。
この中には、学習障害の傾向や勉強が苦手であることから起こる困難を見過ごされてしまっている子供も少なくありません。
では、学習の困難に気づかれにくい子供にはどのような特徴があるのでしょうか。
発達障害が重複
上でも説明したように、ADHDやASDなどの発達障害のある子供の中には、学習障害が重複している子供がいます。
例えば 多動+学習障害で、多動による問題行動が授業中に強く見られる場合
どうしても先生や親にとっての困り感の強い「多動」の方に意識が向きがちです。
学習障害は、本人の困り感は強いですが、周りの人にとって「困る」ものではありません。
そのため、発達障害が重複していると、学習障害に気づかれにくい、もしくは 学習障害のための支援が受けられない傾向があります。
学習障害の特徴が目立ちにくい
図を見ると分かるように、赤線の子供は学習障害の一部分の能力だけがガクっと下がっているため、学習障害が強く疑われます。IQに問題がないのに、ある特定の部分だけが苦手なのです。
でも、緑の子はどうでしょう?
学習が一番苦手かもしれませんが、それ以外の部分との差があまり大きくありません。学習だけが苦手というふうには見えにくいですよね。
このような子供は、学習障害の傾向がありながらも気づかれにくいといえます。
親に危機感がない
あまりにも神経質に子供のできない部分に注目してしまうのはよくないですが、できない部分や子供が困っている部分に気づいていないのも問題です。
親の危機感がない…という言い方は強すぎるかもしれませんが、「子供の力を何とか伸ばしてあげたい」と、積極的に親が動かないと、もちろん学校側の対応も遅れます。
親自身も学習障害
学習障害の傾向がある子供の親もまた、子供の頃に同じような状況だった、ということはよくあります。
大人になった今でも読み書きが苦手、計算ができない、という方もいます。自分も子供の頃そうだったから、子供が勉強できなくて当たり前、とあきらめてしまう方や、義務教育を過ぎてしまえば何とかなると考える方もいます。
上の説明と重なる部分がありますが、やはり学校の対応が遅れることがあります。
勉強が苦手な子供、親はどうサポートすればいい?
学習障害の傾向がある子供は、学校の宿題や学校の授業だけでは、苦手を克服することができません。学校はあくまでも、平均的な子供を基準にすすんでいるのです。
そして、学校の先生は多くの子供たちを指導し、何十人という集団をまとめていくことが求められます。
一人一人に合わせて丁寧に教えてくれるには限界があります。
学習障害の傾向がある子供やお勉強が苦手な子供をもつ親の中には、勉強は学校におまかせと、すべてを学校に依存してしまう方がいます。
でも、それは大きな間違いです。
学校が何とかしてくれるという考え方では、どんどん他の子供と差がひらいてしまいます。
はじめに説明した、1:8:1の「8」である平均的な学力のある子供であっても、家庭でのフォローがあるかないか、親の声かけや 学習への意識の違いで、結果的に大きな差をうむことになります。
勉強が苦手な子供に家庭でのフォローがなければ、学校での授業だけではなく、学校生活すべてにおいて、苦しさがどんどん増してしまいます。
いじめや不登校にもつながりかねません。
だからこそ、家庭でのフォローが欠かせないのです。
では、勉強が苦手な子供たちは、どうやって家庭でフォローし、勉強の苦手を克服していけばいいのでしょうか?
知能検査で苦手の把握
苦手を克服するためには、子供の「苦手」が何か?ということを具体的に知る必要があります。
学習障害やその他の発達障害の傾向がある子供の場合、WISCという検査を受け、苦手な部分がどこなのか、どのような手立てが必要なのかを把握することができます。
検査の時間は60~90分で個別に実施されます。15の検査で構成され、5つの合成得点(全検査IQ、4つの指標得点)が算出されます。
その得点から、子供の「苦手」や「得意」をより多面的に把握することができます。
「勉強が苦手なだけ」とあきらめず、まずは学校や地域の発達支援センターなどに相談し、子供の苦手を把握することが大事です。
それが第一歩です。
どうしていいのか、学校の先生も困っているかもしれません。子供の「苦手」が分かると指導もしやすくなります。
ぜひ、WISCを受けたいという具体的で前向きな思いを伝えましょう。
家庭学習は親の責任!「何とかして」から「何とかする」へ
発達検査で見えてきた「子供の苦手」と、「子供に合った手立て」を踏まえたうえで、学校と家庭が連携してフォローしていく必要があります。
「連携」、ですね。
厳しい言い方になってしまいますが、「学校が何とかして」と、先生に任せるだけでは、子どもは何も変わりません。
普通学級では、集団指導が基本。手厚いサポートをしてもらいたい、という気持ちは十分理解できますが、時間や人手が足りないのが、現実です。
そのため、勉強が苦手という子どもこそ、家庭学習でのフォローが必要になってくるのです。逆に勉強ができる子ほど、親のフォローをあまり必要としません。(羨ましい話ですが…)
そして、意外に思うかもしれませんが、本来「家庭学習」は、親の責任です。
先生には、宿題を出さなければいけない義務もないのですね。極端な話、宿題0でもいいわけです。
でも、宿題を出さなければ多くの子供達が家庭で勉強をしません。
- 家での学習習慣をつけて欲しい
- 学習をしっかり定着させたい
学校は、このような思いから家庭学習の課題(宿題)を出すのですね。
ただ、この宿題の量や内容が全員にあっているか?と言えば、必ずしもそうとは限りません。
同じ宿題でも、10分で終わる子どももいれば、1時間かかる子どももいることでしょう。
簡単と感じる子どももいれば、難しいと感じる子どももいるのです。
そのため、明らかに「うちの子には負担だ」と感じるのであれば、量や内容について担任の先生と相談する必要があるかと思います。
ただ、ここで「うちの子にあった宿題を出して!」と、我が子オリジナルの課題を先生にお願いするのは違います。
先ほど言ったように、家庭学習(宿題も含め)は「親の責任」。
「宿題を減らしても良いか?」と、先生に相談するのは、親しかできません。
子どもが「宿題減らして」とお願いしたり、先生が勝手に特定の子どもだけ宿題を減らすこともできませんからね。
例えば…
漢字ドリルなどで、漢字をひたすら10個ずつ書くのが負担、という場合
ひたすら書くよりも、丁寧に大きく書く方が効果的ということもあります。
子どもに合ったノートを別に用意して、「うちは5個。大きく丁寧に書きます」と提案するのも一つの方法です。
他の子と同じ宿題の量と内容をこなさなければいけない、という思い込みを捨て、我が子に合った家庭学習の方法と内容を見極めることが大切です。
宿題の量や学習の仕方、質については、担任の先生と十分に話し合う必要があります。
勉強が苦手な子供にスモールステップ
勉強が苦手な子供に適した学習方法は、スモールステップが基本です。
とにかく小さな小さなステップを設定して、達成した時には大いに褒めてあげることがとても大切です。
達成感と自信。
それが子供たちにとって欠かせないものだからです。
勉強が苦手な子供に適した教材
スモールステップを取り入れた学習法や、毎日の家庭学習。ゆっくりかもしれませんが、お勉強が苦手な子供にはとても効果的で、必ず力をつけていくことができます。
とはいえ、勉強が苦手な子供に毎日勉強を教えていくということは、親にとってかなりの負担ですよね…。
なかなか理解できない子供についイライラ…。
どうやって教えればいいの?何をすればいいの?
そもそも何につまずいているのか、どこから手をつけていいのか、分からない…。
そんな壁にぶつかって、結局あきらめてしまう…。そんな方も多いかと思います。
じつは、勉強が苦手な子供に勉強を教えるということは、とても難しいことなのです。むしろ勉強ができる子供に勉強を教えることの方が簡単です。
だから、学習障害や勉強が苦手な子供に勉強を教えることに、親が難しさを感じるのは当然です。
でも、親があきらめてしまったら、子供はどうすればいいのでしょう?
勉強ができない…。
でも、子供は「できる!」という自信を持ちたいはずです。もちろん、親だってできるようにさせてあげたい…ですよね。
一つの選択肢として、教材を使って効果的に子供の力を伸ばすのもいいかと思います。
学習障害やグレーゾーンの子供、お勉強が苦手な子供に特化した教材も多くあります。
もう自分には教えられない…
そう、あきらめてしまう前に、子供のためにも一度検討してみてもいいかもしれません。
そばで勉強している姿を見守ってあげたり、頑張っているねと声かけてあげたり。それだけでも、きっと子供はやる気がUPしますよ。
お勉強が苦手な子供に適した教材【タオ】「できない」をスモールステップで「できる」に変える!誰だって絶対できるようになる天神教材。
値段はちょっと高いですが…。苦手を克服するにはとってもいい教材で、内容はすごく充実しています。資料請求は無料!ぜひ詳細を確認してみてくださいね。
不登校、発達障害、知的能力の高いギフテットの子供…。どんな状にある子供であっても、一人一人に適した教育が受けられるシステムになっていますよ。
おわりに
漢字が書けるようになること。
すらすら音読できること。
計算ができること。
勉強が苦手な子供にできるようになって欲しいことは、たくさんあるかもしれません。
せめて、将来困らない程度に、人並みに…
そんなふうに、ありのままの子供では少し不安で、無意識のうちに親は子供に求めてしまっているのかもしれません。
でも、何よりもいちばん大切なこと。
それは
自己肯定感です
今の日本の教育は、上ばかりを見ている気がします。もちろん、それは大切なことですけどね。
できるようになることが、良しとされ
ついてくることができない子供はどんどん見放されてしまうような気がします
これも、あれも…
これからを生き抜くための力
確かに、将来を生き抜くために
さまざまな力が必要なのかもしれません。
でも、あまりにも求められるものが多すぎて
いっぱいいっぱいになってしまう子供たちも大勢います
でも、完璧じゃなくても素敵
できないことがあっても素敵
自分のことが好きになれることの方が
きっと幸せに生きていける気がします。
「できる」というすばらしさを感じると同時に、できなくても否定的な気持ちを生まないような教育であって欲しいですね。
勉強が苦手、ということは、子供にとって、親にとって、とても、とてもツライことです。自信を失ってしまう大きな原因になってしまうこともあるから…。
だから、できるようになって欲しいと願ってしまうのですよね。
でも、勉強が苦手なことは
その人の価値には何ら関係ありません。
自分は素敵な人間
そんなふうに、堂々と…
子供も親も自信をもって生きて欲しいと思います。
ひまわり
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