片付けが苦手、すぐに物をなくす、忘れ物が多い。
そんな子供に困っているお母さんも多いのではないでしょうか?(まさに私もそんな母親の一人…)
その状況が、あまりにもひどいと、親としては心配になりますよね。
- 大人になってもこのまま片付けができないのではないか。
- 他人からだらしがないと思われるのではないか。
- 何より、本人が困るのではないか…。
発達障害やグレーゾーンの子供の中には、その特性から、片付けが苦手、それどころか「片付けられない」という子供がいます。
- 絵を描くことや工作は大好きだけど、その後の片付けが一切できず散らかしっぱなし。
- 本を読み終わっても、そのへんに置きっぱなし。
- 何度言っても、毎回同じ。学校の忘れ物や、無くし物も多い。
それがもし発達障害の特性が原因なのであれば、厳しく叱っても治ることはありません。
でも、「片付けられない子供」であっても片付けられるようになる方法は必ずあるのです。
一体どうしたら、片付けが苦手な子供が片付けられるようになるのか?
片付けられる大人になるために、今から身に着けられるスキルとはどのようなものなのか?
今回は片付けのスキルを身につけるための方法と、片付けが苦手な子供をもつ親はどのようなことを心がければいいのか、ということについてお話しします。
片付けが苦手な子供の特徴とは?
片付けが苦手、片付けられない。そんな子供たちには、特徴があります。
お子さんはどのような特徴があるのか。まずはそれを知ることで、効果的な対処法や手立てが見えてきます。
散らかっていることが気にならないタイプ
片付けが苦手、片付けられないという子供の中には、部屋に物が散乱していても、汚れていても「全く気にならない」という子供がいます。
片付ける「能力」が劣っているわけではないんですね。つまり発達障害は関係ありません。
これは性格や性別、環境によるものが大きいといえます。
良く言えば「大らか」。悪く言えば「ずぼら」。
まあ、面倒くさいということですね(-_-;)
発達障害の有無にかかわらず、世の中にはこのタイプが一番多いと言えます。
お母さんの「汚い、片付いてない」という感覚と、子供にとっての「汚い、片付いてない」の感覚がそもそも違うのです。
部屋に物が散乱していても、洋服が脱ぎ散らかしてあっても、子供にとってそれが汚い状態ではないので、片付けをする必要性も感じません。
もちろん「きれいにしたら気持ちいい」という感情もわきにくいといえます。
そんな子供に「片付けなさい!掃除しなさい!」と言っても、それは子供にしてみたらうるさいだけですよね。
一言でいえば「厄介な作業」なんですね。
片付けなんて「面倒くさい」「掃除なんて大嫌い」という気持ちだけがふくらんでしまい、口うるさく注意すればするほど、片付けからは気持ちが遠ざかってしまいます。
片付けに興味がないタイプ
そもそも物を出したら片付けるという概念がない子供もいます。
上で説明したことと重なりますが、生育環境(家庭環境)が影響していることが多いようです。
親にその意識が薄かったり、片付けた時に褒められなかったりという家庭では、子供に片付けの意識が育ちにくいといえます。
物を出したら片付ける。これは、自立のための一つ。小さいころからの習慣づけが大切です。
片付いていたら気持ちがいい、片付いていたら使いやすい
そのような 片付いた状態の心地良さを体験することや、片付けた時に褒められた経験が少ない子供の場合、片付けという行為に興味がうすくなってしまいます。
物を捨てたくないタイプ
片付けが苦手、もしくは片付けられない子供の中には、物への執着や愛着が強く、物が捨てられないという子供がいます。
他人からしたらどうでもいいような物が本人にとっては、とても大切だという思いがあり、捨てられずにどんどん物が増えてしまうのです。
物が増えすぎた結果、どこに何があるのかわからない、大事にしていた物のはずなのに、結局まったく大事にできずに、大量の物の中に埋もれてしまっている…ということが起こります。
自分にとって本当に大切な物という基準が曖昧で、物の管理が下手だともいえます。
本人にとっては、これも大事。あれも大事。全部大事!となるのですが、親にしてみると「ぜんぜん大事にしてないじゃない…。」となるのですね。
また、「ため込み症候群」といわれるものもあります。
これは、多くの人にとっては価値のない物を大量にためこんでしまい、 集めた物を捨てることに強い罪悪感や苦痛を感じてしまう障害で、 こころの病気も関係してきます。
発達障害やその傾向がある人が将来的に抱えやすい問題でもあります。
こちらは、大人に管理されている子供の場合はあまり問題が大きくなることがないかと思いますが、そのような性質がある場合は、子供の頃からの親の手立てがとても重要になります。
発達障害の特性がある
発達障害の一つであるADHD( 注意欠陥・多動性障害)やADD(注意欠陥障害)の子供の中には、片付けがとても苦手な子供がいます。
注意欠陥の子供は、注意が次々と移ってしまう特性があり、遊びも次から次へと変わっていきます。
遊んでいたと思ったら、いつの間にか違うことをしている。気づけば、また違うことをしている…というように、その時その時で興味が移ろいでしまうのです。
今していたことはスカッと抜けて、次の興味へ一直線なんてことも…
一つの作業(遊び)を最後まで成し遂げずに次の行動にうつってしまうので、片付けはできません。
気づけば部屋の中は、ぐちゃぐちゃ。いざ片付けようと思っても、物事を段取りよくこなすとが苦手なため、結果的に整理整頓が下手、片付けが嫌いな子供が多いのです。
小さい子供には、このような傾向が少なからずあるものですが、発達障害の特性が原因で片付けができない子供の場合は、年齢があがってきてもあまり改善されることがありません。
大人になって「周りの人はできるのに、何で自分はできないんだろう…。」
と、悩む人もいるようです。
もちろん、片付けなさい!と親が叱ってもできるようになりません。
そして、片付けたい気持ちはあるけれど、片付けられない、片付け方が分からないという気持ちがある子どもが多いのが特徴です。
片付けが苦手な子供が自分で片付けられる方法とは?
基本的に小学生の子供の場合、片付けはお母さんの仕事、お母さんにお任せ、という子が多いといえます。
実際、なかなか片付けない子供にイライラ。散らかった部屋にストレスがたまり、子供が散かしたものであっても、ついつい自分が片付けた方が早いからしてしまう…、というお母さんも多いのではないでしょうか?
これでは、いつまでたっても自立することはありません。面倒くさいことはいつもお母さんがしりぬぐいする…。そんな構図が出来上がってしまうのです。
では、いったい片付けられない子供が自分で片付けられるようになるには、どうしたらいいのでしょうか?
片付けする時は親も一緒に取り組もう
片付けが苦手な子供に、いきなり一人で片付けをさせるのはハードルが高いといえます。まずは親も一緒に片付けをするということがとても大切です。
あまりに散らかっていると、子供はどこから手を付けていいか分からないもの。
一緒に取り組む時には、自分の部屋がある子供であれば、まずは自分の部屋から片付けを始めるのがいいですね。
遊び関係のもの、勉強関係のもの、学校関係のもの、など、大まかに分類して取り組むと失敗が少なくてすみます。
またすぐに散らかることが考えられますので、定期的に一緒に片付けをしてあげましょう。どこがどう散らかりやすいのかというポイントも徐々に見えてきます。
面倒くさいからこそ、片付けや掃除に時間をかけないような工夫をすることが大切なのです。
最小限の労力で片付けられるような環境をつくることや、工夫を一緒に考えることで、徐々に子ども自身で考えられるようになります。
最終的には子供が自分で考え、一人でできるようになることが目標!
片付けたら褒めよう
一緒に片付けをしてできた時も褒めることは大切ですが、もし自分で何かを片付けたのであれば、それがどんなに些細なことであっても褒めてあげましょう。
出した物を元の場所にもどした。床に直置きされていたマンガ本を机の上に乗せた。
そんな行動は、本当に些細で「片付け」とは程遠い行為かもしれませんが、そもそも「片付け」とは小さなことの積み重ね。その小さな積み重ねがあることで、散らかりすぎることを防ぐことができます。
だから、その小さなことこそ出来たときに大きく褒めてあげてくださいね。
片付けの行為を褒められることで、喜びが感じられるようにするのです。
片付け=良いこと・気持ちのいいこと
まずは、この意識が育たなければなりません。
できないことより、少しでもできたときに褒めてあげる環境は、子供にとってとても大切です。
片付けは教育と同じ。根気よく声掛けしよう
片付けが苦手な子供が片付け上手になるためには、とても時間がかかります。片付けは教育と同じで、片付けが苦手な子供がいきなりできるようにはなりません。
そのため、ステップアップが大切です。大人になるまでに自分で片付けられるようになればいいわ、ぐらいのスタンスではじめから完璧を求めず、ゆるいルールから始めましょう。
また、タイミングよく声掛けをすることで少しずつ習慣化させていきましょう。
たとえば、出した物は使った後に必ず片付ける。はさみなど使ったあと、子供はそのへんにポイと置きがちですよね。
大人でもそうかもしれませんが、自分自身も気を付けたいところですね…。
終わった瞬間を見計らって片付けるよう声掛けをすることで、「使う→使用後片付ける」の流れがセットになります。これも時間がかかりますが、習慣化が大切です。
特に、床に物を置かないという習慣づけは最初に身に着けたいですね。床に物がなくスムーズに歩ける状態にしておくだけで、部屋の中の散らかり感がかなり減ります。
使ったモノ、出したモノは床ではなく、とりあえず棚や机の上に「置く」という習慣は片付けの基本です。
はじめは机の上がぐちゃぐちゃでも、床に物がなければ「よし」と考えるぐらいの気持ちで徐々にステップアップしていきましょう。
片付けやすい環境づくりとは?
片付けの習慣化に合わせて、片付けやすい環境づくりを心がけることはとても大切になります。
いくら片付けを習慣化させようとしても、片付けるのが面倒な環境では続かず、結局また散らかってしまうからです。
物を減らす
これは一番手っ取り早い方法といえるかもしれません。まずは1つのエリア(子供部屋や子供専用の場所)から取り組んでみましょう。
特に物を捨てることができない子供の場合は、ルールがないとどんどん物が増え、散らかってしまいます。
この棚に入りきらない時は「捨てる物を決めて処分する」、使う物と使わない物の選別を「月に1回必ずする」などのルールを決めて一緒に取り組んでみましょう。
マンガはこの棚に入る分だけよ。
使わないプリントは週末にまとめて捨てようね。
使う物と使わない物の選別や、物を捨てる勇気も大切ですが、物を捨てないようにするために物を安易に増やさないということ、物を大切にするということにも気づけなければいけません。
これは将来的にとても大切なスキル。
発達障害の子供は自分でルールを決めることやルールを守って判断できるスキルも少しずつ身につけさせたいですね。可能な限り本人のルールや意思を尊重し、一緒に取り組んでみましょう。
視覚的に分かりやすい収納にする
発達障害の特性がある子供の中には、片付けをしなくてはいけないと感じながらも、どうやって片付ければ良いのか分からないという子供たちもいます。
片付け方が分からない子供には、片付け方を丁寧に教えることや部屋の環境を変えるだけで、うまく片付けられるようになります。
発達障害やグレーゾーンの子供には、見える収納が最も効果的です。もちろん、発達障害の有無にかかわらず、片付けが苦手な子供にも効果的です。
片付けが苦手な子供は、物が引き出しの中に入っていると見つけられない、片付けられないということが多く起こります。
また、1ステップで片付けられる場合と、2ステップで片付けなければならない場合では、後者の方が断然、片付けに対するハードルが高くなってしまいます。
- どこに何があるのかが一目で分かること
- 1ステップで片付けられること
この2つは、とっても重要です。
児童館などで、オープン棚におもちゃの写真が貼ってあるのを見たことがある人もいるのではないでしょうか?
あれは、どの子が何を使っても片付け場所に困らないようにするための工夫です。
言葉の分からない子供であっても、写真があれば一目瞭然ですよね。この工夫を家でも取り入れるのです。高学年であれば、具体的に物の名前を書いたシールを貼ってもいいかもしれません。
そして、片付ける場所はいつも一定にします。
学校のノートや教科書の場所。ランドセルの場所。文房具の場所。
引き出しはなるべく使わない方がいいですが、引き出しを使う場合は、中身の見えるタイプの引き出しを使うといいですね。
机(木)の引き出しは、中身が見えなくなってしまうので、あまりおすすめできません。なるべく使わないようにしましょう。
また、片付けた状態の全体写真を撮り、部屋に貼っておくと片付けのゴールが見えやすいので効果があります。
一日の最後にこの状態にする、ということを繰り返し習慣化すると、必ず片付けられるようになります。
片付けのスキルを身につけるためにも、親の指示ではなく、自分で収納場所やルールを決められるようになるといいですね。
発達障害の特性をもつ子供たちは、一度この習慣がつくと、むしろ片付けないと気が済まないほどに成長します。
もしかして将来、片付け名人になってくれるかもしれませんね♪
おわりに
うちの娘も片付けがとっても下手です。
…というより、片付けるのを忘れてしまうことが多いように思います。
開けっ放し、出しっぱなし、脱ぎっぱなし…。もちろん物をなくすこともよくあります。
短期記憶が弱い傾向もあり、ついさっき使っていた物がどこにいったか本気で分からなくなってしまうこともあります。認知症か!と思ってしまうほど…。
それに、今やりたいことがあれば、そこにしか気持ちがいきません。
私のタイミングで「一緒に片付けよう!」と言っても「えー、イヤ」と言われることもしばしば…。
…とはいえ、気が向いた時には、片付けてくれることもあります。
そんな娘にはもちろん、少しでもできた時には「すごいね!」「きれいになって気持ちいいね!」という言葉をかけるよう、幼いころから常に心がけています。
そして、嬉しい行動をしてくれた時には「嬉しい!」という正直な気持ちも伝えています。
物の置き場所を常に決めておくことや、見える収納にしたこと、 片付けやすい環境にも気を付けています。
その成果もあってか?! 小学校入学後は少しずつですが、片付けへの意識や片付けへのプラス意識が育ってきているかな、と感じます。
一歩一歩ですが…。本人が困らない程度に。周りに迷惑が掛からない程度に。
大人になるまでに、片付けが自分からできるようになればなぁと思います。
我が家は、そんな娘に合わせた収納を重視していますが、家族にとっても片付けやすい環境といえるようです。
発達障害の子供たちが片付けやすい環境は、大人にとっても誰にとっても片付けやすい環境なんですよね。
相乗効果で、面倒くさがりやの息子や夫までも自ら動いてくれるようになりました。
むしろ、そっちの効果が大きかった(笑)
片付けやすい環境って大事だなぁ…とつくづく思います。
片付いている状態は、見た目も気持ちがいいですし、頭の中や心の中もすっきりするというメリットもいっぱい。
個人的には、片付いている空間の方が「プラスの流れ」が生まれるように思います。
別に片付けなんて…
と、思う方もいるかもしれませんが、私は人生において「片付いた空間」って、とっても大事だと思っています。
現実は子供がいると、なかなか難しいですけどね…
でも、一度本気で
「片付け」って何だろう??
そこに、真剣に向き合ってみるのもいいかもしれません。
大切なことが
色々と見えてくるんじゃないかな…
そんなふうに思います。
ひまわり
発達障害の子供はなぜ疲れやすいの?子供のダラダラ、やる気のなさについイライラ怒ってばかりいませんか?もしかして、子供の疲れからくるダラダラには理由があるのかもしれません。発達障害の子供たちの疲れの原因とは?また、親の正しい対応についても解説します。