発達障害グレーゾーンの子供をもつママにとって
わが子の「グレー感」をどう周囲へ伝えるか? それは、とても悩ましい問題ですよね。
特に、それほど親しくない人に対して、発達障がいの特性をどの程度まで話す必要があるのか? どのように話せばいいのか?
伝えたいけれど、理解してもらえなさそう。
誤解や偏見をもたれそう。
そんな不安から、何となく「わが子の特性についての話題」は避けてしまっている、というママもいるかもしれません。
また、年齢が上がるにつれて多くのママが抱える「本人に伝えるべきかどうか」という葛藤。
一見して分かりにくい発達障害の特性は、伝え方を間違えると、子供だけでなく、家族やママ自身までもが傷ついてしまうなんてことになりかねません。
- 誰に、どうやって、いつ 発達障害の特性があることを伝えるのか?
- 正しい伝え方とは?
今日はそんな疑問について、自分の経験も踏まえてお話しします。
発達障害の伝え方:ママ友への正しい伝え方とは?
私自身の話になりますが、私もこれまでに娘のことを知っているママ友や、習い事のママへ「娘のグレー感」についてカミングアウトした経験があります。
カミングアウトというと ちょっとニュアンスが違うかもしれませんが…
「うちの子、ちょっと発達障害っぽいとこがあるんだよね」
ぐらいの軽い告白。
それはもちろん、「娘の特性のことを伝えよう!」と構えて話すわけではなく、なんとなく話しの流れで「伝えたい」という必要性を感じた時にお話しするということがほとんどです。
そんな時の周囲の反応は、大体こんな感じです。
- 「全然そんなふうに見えないよ」と明るく返してくる。
- 「だいじょうぶだよ」「心配ないよ」と励ましてくれる
- 「そうなんだ。どんなふうに?」と驚いた様子を見せず受け入れる。
1や2の場合、相手としては、本心で娘に発達障害の特性をみじんも感じていない(気づいていない)のかもしれません。
それとも、実は「普通の子とは何か違う」という違和感はあるけれど、私を安心させようと励ますつもりで言ってくれているのかもしれません。
デリケートなことだけに、何と答えていいか分からないという場合もあるでしょうね。
いずれにしても、それ以上深い話には発展せず、こちらからもあえて娘のことについて深くは話しません。
発達障害やグレーゾーンについてあまり知らない方や興味の薄い方の場合は、このような反応になることが多いです。
「うっすらした発達障害の特性」をすべての人が理解できるか、興味をもってくれるか、といえば、それは難しい話です。
でも一方で、さらっと伝えただけにも関わらず、「娘に発達障害の特性がある」ということを 自然な感じで受け入れ、興味を示してくれたり、私の心の内を心配してくれたり、寄り添ってくれようとする方もいます。
そんな方には、娘の特性についてもう少し深く話すようにしています。
伝える。けど「求めない」が大切
そもそも、発達障害の特性を伝える時、ママの心の奥にある「目的」や「思い」とは一体なんなのでしょうか?
- 子どもの特性を理解して関わって欲しい?
- 子育ての大変さや不安、悩みを理解して欲しい?
- 子どもを守りたい?
- 子どもの中に「特性」があることを相手に知っておいて欲しい
相手がママや子供と深い付き合いである場合、これはすべて当てはまるかもしれません。
ただし、これをすべてのママ友に求めても無理というの現実です。
きちんと理解して欲しい!!という思いでいるとママも傷ついてしまいます。
なので、相手が単なるママ友であるならば、はじめは「4」の「特性があることを知っておいて欲しい」という要素が大切です。
私は周囲のママ友に娘の特性を隠すつもりはないですが、かといって発達障害の特性があることあえて伝えたい、とも思っていません。
機会があれば触れておきたい、という程度です。
できれば、娘と関わる人には「娘の中に発達障害の特性があること」を知っておいて欲しいからです。
そのため、周りの方の反応がどうであれ、特別に深い仲ではないママ友には「何となく伝えられたら、それでOK」。目的達成だと思っています。
機会があれば、さりげなく伝えておく
ママ友の場合は、はじめは「さりげなく」ぐらいの伝え方がちょうどいいのです。
理解してもらうための第一歩、と考えれば伝えるメリットは大きいと言えるのではないでしょうか。
勘のいいママなら、育児に少し負担を感じていることに気付いてくれます。
そういうママは必ず心のどこかで、こちらの悩みや思いを覚えていてくれます。
長く付き合っていくうちに、いつの間にか娘の特性のことを自然に理解してくれて、悩みや不安を深く話せるようになるママ友も必ずいるんですよね。
意外と、興味無さそうに聞いていたのに心のすみっこで覚えてくれている、心配してくれている、というママ友もいます。
「伝える」という小さなアクションが、意外と大きな財産につながることもあるのです。
発達障害の伝え方:同級生ママへの正しい伝え方とは?
幼稚園や保育園時代と違って、同級生のママ達との関わりが激減する小学校。
とくに、違う園出身の保護者の方に対して、子どもの特性を理解してもらうのは、なかなか難しいといえます。伝える機会も少ないですからね。
でも、学校生活で周囲に迷惑をかけるような行動がある場合、例えば
- 授業中立ち歩いてしまう
- 教室を飛び出してしまう
- すぐに喧嘩して手を出してしまう。
このような場合は、やはり「子どもの特性について伝えておく」ということが重要です。
授業の中断や、相手を傷つけるなどの問題があるにも関わらず「スルー状態」が続くと、周りの保護者からの理解が得られにくくなるからです。
一番いい機会は、学級懇談会。
- 感情のコントロールがまだ上手くできなくて、つい乱暴になってしまうことがあります。
- じっとしていることが苦手で動き回ってしまうことがあります。
- 急な予定変更でパニックになってしまうことがあります。 など
学年はじめの懇談会で「具体的に」伝えておくのがベストです。
ただし、悪いところを全面に出すのではなく、優しい一面がある、好きなことには没頭できる集中力があるなど、いいところもセットで伝えておくと、子どもへの印象が悪くならずにすみます。
また、ケースにもよりますが、先生や学校、専門家との相談を重ねていること、改善に向けて努力している姿勢などを伝えられれば、他の保護者の方も安心し好印象です。
「ご迷惑おかけするようなことがあればお伝えください。」
そんなママの柔軟な心と余裕があれば、たいがい相手も受け入れてくれます。
決して卑屈になったりせず。
冷静に。そして堂々と。
伝えようとする勇気があれば、相手に届きます。
発達障害の伝え方:祖父母のへの正しい伝え方とは?
発達障害やグレー感を伝える時。意外と難しいのが「身近な人」。
関係が近いだけに、伝え方を間違えると関係がこじれてしまったり、ちょっとした言葉にママが傷ついてしまったり…ということも起こってしまうようです。
できれば、おじいちゃん、おばあちゃんには、「かわいい」だけでなく、子どもの特性のことをしっかり理解して接して欲しいですよね。
ただし、60代以降の年齢層の人には、まだまだ「発達障害」や「グレーゾーン」という言葉は馴染みがないのが現実。
普通級に在籍するグレーゾーンの子供の中には、おじいちゃん、おばあちゃんに猛反対されて、「支援級に入れたいけど入れられない…」と、悩むママ達も多くいます。
行動や言動から一見して「発達障害」と分かるような特性がある場合や、医師の診断名がある場合は別として、「うっすらした特性がある」ということを理解する、受け入れるというのは難しいといえます。
年配の方へ発達障害の特性があることを伝えるときは、あえて「発達障害」や「グレーゾーン」という言葉を使わず、苦手なこと、困っていることだけを「具体的に」伝えると◎
発達検査を受けたことがある人は、その結果を伝えてあげれば、祖父母世代は特性を理解しやすくなります。
身近な人には凸凹をちゃんと理解してもらい、みんなが特性を理解することで、子どもの良さがより伸びやすくなります。
身内の理解ほど、心強いものはありません。
発達障害の伝え方:本人へはどう伝える?
発達障害の特性があるということを本人に伝えるべきか?
最も難しく、深いテーマですね。
高学年になると悩んでしまう保護者の方も多いのではないでしょうか?
本人が何も困難を感じずに笑顔で過ごしているのであれば、あえて伝える必要はない、と思う方もいるかもしれません。
でも、突然…「ぼく(わたし)って、発達障害なの?」と質問される日がくるかもしれません。
質問することはなかったとしても、周りとの違いで深く悩んだり、困ることがあるかもしれません。
そんな時、親は子供の特性について しっかりと説明してあげられるようにしたいですよね。
特に、自分の特性のことで悩んでいる、困っている…。そんな状態の時は、伝える良いタイミグといえます。
自分の特性のことについて「知る」というのは、とても大切なことです。
でも、どう伝えればいいの?
そう思われる方は、子どもでも理解しやすい、発達障がいの本などを一緒に読んでみるのも一つの方法です。
「発達障がい」について理解を深める、いい機会になります。
- 発達障がいって何?
- どんなこと?
まずは、子どもが「発達障がい」に関心をもち、正しい知識を得ることが第一歩です。
「あなたにも、こんなところあるよね」
本を読んで、子どもが「自分と共通する部分」を感じれば、 書籍に出てくる人物や状況を通して客観的に自分の特性を理解することができるようになります。
このように、発達障害の特性があることを本人に伝える時は、けっして突然に、ストレートに伝えるのではなく、少しずつ伝えていく。
そして、正しく発達障がいについても伝えていくことが大切です。
- 発達障害の特性があるということは悪いことではないということ。
- 苦手や困難をどう乗り越えていくか。どう自分らしく生きていくか。それを考えることが大切であること。
- 困難にぶつかった時は、一緒に考えてくれる人がいること。
この部分も、時間をかけてしっかり伝えてあげたい部分ですね。
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まとめ
診断名のない「発達障害グレーゾーン」の子ども
一見分かりにくいこの特性を「誰かに伝える」というのは
とても難しく、とても勇気のいることですよね。
わざわざ伝える必要がある?
そう思う方もいるかもしれません。
でも、グレーゾーンだからこそ「伝えないと」相手は分からないのです。
そして、伝えることから「理解」が生まれるのです。
理解してくれる人がいること。
それは、ママにとっても子どもにとっても最大の武器になります。
だから、伝えることを諦めるのではなく
伝えたい相手には、しっかり伝えるべき。
わたしは、そう思います。
わざわざ「伝える」ということに抵抗があるかもしれませんが
それはもしかして
「発達障害の話題について触れたくない」「どうせ理解してくれない」
そんな思いがどこかにあるのかもしれません。
素直に相手に話すことができれば、きっと「伝えたい相手」には伝わります。
もっと、柔軟に。そして、もっとオープンに。
うちの子は、こんな子
自信をもって、相手に正しく伝えることができるといいですね。
そのためにも、親は
もっともっと、発達障がいに対する正しい知識を持っていなければいけないし、もっともっと、 我が子の特性のことを知らなければいかけないのかもしれません。
娘もいつか
周りの友達との違いに気づく時がくるかもしれません
「わたしって発達障害?」
そう質問された時、発達障害のことや、娘のもつ特性について
正しく伝えられる親になりたいと、思います。
ひまわり